研医会通信  17号  2007.11.5
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このホームページでは、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。

今回は『万病回春』(1)です。

 

財団法人研医会図書館 利用案内

研医会図書館は近現代の眼科医書と東洋医学の古医書を所蔵する図書館です。


所在地:      中央区銀座 5−3−8 
交通:       東京メトロ銀座駅 徒歩5分 ソニー通り  
開館時間:   9:00〜5:00
休館日:     土日祝日、夏季休業日、年末年始

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萬病回春(1)

 

 

 『萬病回春』は、中国、明代にキョウ(龍の下に共)廷賢によって編輯された医学全書である。本書には、甲寅活字(李後期)印本、古韓構字(肅宗期)印本および英祖29年?刊本等(三木栄博士著『朝鮮医書誌』)の10巻本と中国、明版やその翻刻印本の8巻本とあり、わが国においては金陵書房周對峰の新刊本や?門書林葉龍渓重刊本による翻刻などの8巻本が多い。本書は8集8冊よりなり各巻には以下のような項目を挙げて詳述している。

孝集巻1
萬金一統述、薬性歌、諸病主薬、釋刑體、週身臓腑形状、人身背面手足之図、十二経脈歌并補潟温涼薬、十二月七十二候歌

弟集巻2
中風、傷寒、附傷風、中寒、瘟疫、中暑、中湿、火証、内傷、飲食、鬱証、痰飲、咳嗽、喘急、哮吼

忠集巻3
瘧疾、痢疾、泄瀉、霍亂、 嘔吐、 翻胃、 ?逆、 曖氣、呑酸、ソウ(食へんに曹)シュウ(衣へんに集)、諸氣、青筋、痞満、鼓脹、水腫、積衆、五疸、痼冷、班疹、發熱

信集巻4
補益、虚労、失血(吐血、衂血、咳血、喀血、唾血、溺血、便血)、悪熱、悪寒、汗証、眩暈、 麻木、 癲狂、癇症、健忘、征チュウ(りっしんべんに中)、鷲悸、虚煩、不寐、邪崇、厥證、濁証、遺精、淋証、関格、遺溺、小便閉、大便閉、痔漏、懸癰、體氣、脱肛、諸蟲

帷集巻5
頭痛、 鬚髪、面病、 耳病、 鼻病、 口舌、歯牙、 眼目、 咽喉、結核、梅核氣、?瘤、肺癰、肺萎、心痛(即胃カン(月に完) 痛)、腹痛、腰痛、脇痛、臂痛、背痛、痛風、脚氣、癩疝、痿○、消渇、○(やまいだれに至)病

義集巻6
婦人科、調經、經閉、血崩、帯下、虚勢、求嗣、妊娠、産育、小産、産後、乳病、乳岩、婦人諸病

○集巻7
小児科、急驚、慢驚、疳疾、癖疾、諸熱、感冒、傷食、腹脹、嘔吐、泄潟、吐潟、痢疾、瘧疾、咳嗽、喘急、 小児初生雑病、胎熱、胎悪、臍風、撮口、胎驚、
夜啼、中悪、天吊、鵞口、 口瘡、重舌、木舌、走馬牙疳、愛吃泥土、丹毒、赤腫、喉痺、眼痛、膿耳、鼻瘡、頭瘡、臍瘡、諸蟲痛、尾骨瘡、疝氣、盤腸、
脱肛、遺溺、尿濁、便血、下淋、吐血、小便不通、大便不通、水腫、黄疸、自汗、發班、觧顱、鶴節、行遅、髪遅、語遅、 歯遅、亀胸、亀背、痘瘡、麻疹

耻集巻8
癰疽、瘰癧、疔瘡、便毒、下疳、揚梅瘡、○瘡、疥瘡、癬瘡、痿瘡、癜瘡、歯浴A諸瘡、杖瘡、折傷、金瘡、破傷風、湯火、蟲獣、中毒、骨梗、五絶、膏薬、通治、奇病、雲林假筆凡12条、キョウ(龍の下に共)氏家訓凡32条

本書の眼科部門は、その禮集第5巻に眼日"として掲載されているが、その説は五臓六腑、五輪八廓説、七十二症論を掲げたもので、薬物治療法が主である。前代の金、元代の眼科を比べると大同小異である。正保4年 (1647)および貞享4(1687)粘にそれぞれ翻刻された日本版と明、萬暦17年(1589)序刊『従弟増補万病回春』の眼目についてだけを比較すると、明版の増補部分は項目では次のようなものである。

(増補眼疾門方旨)
 増補消風養血湯

(増補益陽腎気丸)
   増補療本滋養丸  増補補陽湯
   増補セイ(虫に斉)ソウ(虫に曹)明日   増補乾熟地黄丸
   増補本事羊肝丸  増補竈龍點眼方

 


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    図1 増補儒醫キョウ(龍の下に共)雲林先生萬病回春集、 扉、 明、 萬暦17年(1589)刊

 

             図2 増補儒醫キョウ(龍の下に共)雲林先生 萬病回春集、序

 

              

          図3 増補儒醫キョウ(龍の下に共)雲林先生萬病回春集、巻1、巻頭

 

 


 

図4 増補儒醫キョウ(龍の下に共)雲林先生 

   萬病回春集、眼目の部

 

図5  萬病回春鈔、序文末  

   寛永18年(1641)刊

 

 

(1980年6月 中泉、中泉、齋藤)

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