研医会通信  5号  2006.11.7
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『百花詩図考』より

このホームページでは、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。今回は『医書大全』です。

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医書大全(1)
     

 わが国の南北朝から室町時代末頃までの翻刻書の中には仏教書以外に『論語』や『三体詩』等種々挙げることができるが、医書としては大永8年(1528)阿佐井野宗瑞覆明刊の明・熊宗立撰『新編名方類證医書大全』、天文5年(1536)谷野一栢覆明刊の明・熊宗立撰『俗解八十一難経』等があるだけである。

 越前版『俗解八十一難経』は天文5年9月9日越前国一乗谷城下の高尾において、朝倉孝景(宗淳)に招かれた南部の僧医、谷野一栢(雲庵、連山老人)が明版をもって覆刊したものであり、わが国医書出版として第2番目のものである。

 天文版論語(天文2年刊)の開板は阿佐井野家の何人によって行なわれたか明らかではないが、阿佐井野家の開板としてはその他に『医書大全』と『三体詩』等がある。

 大永8年、泉南の阿佐井野宗瑞(堺の人、婦人科医、〈非医師説有り〉享禄4年5月歿、法名 雪庭宗瑞居士)(三木栄博士)が覆明刊した『新編名方類證医書大全』(図1)はわが国医書開板の濫觴を成すもので誠に貴重である。

 

 

 

図1 『新編名方類證医書大全』 巻1 巻頭

いわゆる大永版医書大全で、わが国最初の翻刻医書

 

   

 この大永版『医書大全』は阿佐井野宗瑞が明版を基にして覆刊したといわれ、その何年版が使用されたのか明確ではないが、日本の大永8年版として流布している『医書大全』には明の成化3年(1467)熊氏種徳堂刊と刊年が入っているところから、この成化版が用いられたのではなかろうかといわれている。

 『新編名方類證医書大全』は序文および目録(1冊)、『医学源流』(1冊)、本文24巻(8冊)の計10冊より成り、明・天順2年(1458)呉高尚、明・正統11年(1446)熊宗立の序文があり、次に目録が掲げられ(図2)、『医学源流』は別に1冊綴りになっている。

図2 『新編名方類證医書大全』  熊宗立序 および目録大永8年覆明刊


 

図3 『医学源流』 熊宗立序および巻頭

『医書大全』とは別に慶長、元和の古活字版が出版された。

 

 

 『医学源流』(図3)は中国古代、三皇から元までの著名医家の事蹟を書いたものであるが、この本はもと別人(熊均)が書いたものを合刻したのではあるまいか(岡西為人博士)、という説もあり、『医書大全』の一部であったのか、全然別人の書いた単行本であったのか明確ではない。ちなみに熊均と熊宗立については『漢土諸家人物志』(寛政12年改刻)の熊均の下に、「字ハ宗立道軒ト号ス、自ラ勿聽*子ト号ス、建陽ノ人、劉?ニ従テ学ブ、兼テ、陰陽医トノ術ニ通ジ、難経、脉訣ヲ注ス。著述婦人良方、医書大全、薬性賦補遺集、医学源流、運氣図括等。」とある。

 『医書大全』は各巻に門を分ち、各門に類をわけ、各類には方を載せ、方名の上に更に一、二、三、四・・・・・・の数を挙げて標記し、目録と本文を互いに相通じ合うようにしてある。すなわち24巻に次のような門を挙げている。

 

『医書大全』全24巻 巻1 治諸風、附風論
巻2 治諸寒、附寒論、治諸暑、附暑論、治諸湿、附湿論
巻3 治傷寒、附傷寒論
巻4 治諸ホ(やまいだれに甫と正)、附ホ論、治諸痢、附痢論、治嘔吐、附嘔吐論
巻5 治泄瀉、附泄瀉論、治霍乱、附霍乱論、治秘結、附秘結論、治咳嗽、附咳嗽論
巻6 治痰飲、附痰飲論、治喘急、附喘論
巻7 治諸気、附気論
巻8 治脾胃、附脾胃論、治翻胃、附翻胃論
巻9 治諸虚、附虚論
巻10 治癆(やまいだれに察)、附?論、治咳逆、附咳逆論、治眩暈、附眩暈論、治五痺、附痺論
巻11 治頭痛、附頭痛論、治心痛、附心痛論
巻12 治腰脇痛、附腰脇論、治脚気、附脚気論
巻13 治五疽、附疽論、治諸淋、附淋論、治消渇、附消渇論、治赤白濁、附諸濁論
巻14 治水腫、附腫論、治張満、附張論、治積聚、附積聚論
巻15 治宿食、附宿食論、治自汗、附自汗論、治虚煩、附虚煩論、治健忘、附健忘論、治癩癇、附癩癇論、治陰頽*、
附陰頽*論、治痼冷、附痼冷論、治積熱、附積熱論
巻16 治失血、附吐血咳血衂論、治下血、附下血論、治痔漏、
附痔漏論、治脱肛、附脱肛論、治遺尿失禁、附尿論
巻17 五臓内外所因、附五臓論、治眼目、附眼論
巻18 治鼻、附鼻論、治口舌、附口舌論、治牙歯、附歯論、治咽喉、附咽喉論、治鬢
巻19 治癰疽瘡(やまいだれに節)、附論、治瘰癧、附瘰癧論、治瘡疥、附瘡疥論、膏薬
巻20 急救、治折傷、附論、治蠱毒、附蠱毒論、解諸毒、湯薬
巻21 婦人調経衆疾、附論
巻22 妊育、附論、胎前、附論、産後、附論
巻23 小児方、附論
巻24 小児方下
   眼科については巻17第5丁より第11丁まで眼目門(図4)として記載されている。次にその類項目録を挙げる。
治眼目 附眼論    
  肝風熱 28.明眼流気飲 29.車前散 30.地黄圓 31.決明子散 32.荊芥散 33.キュウ(くさかんむりに弓)窮圓 34.撥雲散 35.蝉花散
36.菊花散  37.洗肝散  38.?(ウ冠にはつがしらに山)蒙花散  
39.蝉花無比散  40.羊肝圓  41.明眼地黄圓
42.湯泡散
肝気虚 43.養肝圓
心経熱 44.七寶洗心散  45.導赤散
肺家熱 46.桑白皮散
腎虚 46.桑白皮散47.補腎圓  48.杞苓圓  49.腎冷眼昏方
肝腎虚 50.加減駐景圓  51.四生散  52.五味子圓  53.菊晴圓
暴赤 54.洗方  55.暴赤眼 三方
醫膜 56.白龍散  57.捲簾散
風眩 58.銅緑膏  59.洗方  60.爛眩風眼方  61.又方
62.黄連散
點法 63.黄連膏  64.碧霞丹
明眼 65.神キク(むぎへんに曲)圓

図4 『新編名方類證医書大全』 眼目病論

   本文はこの順序に従って細かく記されている。内容的には病論は『銀海精微』(孫思バク)の五輪八廓総論をそのまま採り入れたもので、薬物による眼病治療法が述べられている。

 

(1979年7月 中泉、中泉、齋藤)

 

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