研医会通信  162号 

 2018.11.20
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この研医会通信では、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。

今回は 『本邦試視力表の種々』の最終回(その3)です。

本邦試視力表の種々(その3)

 

日本の視力表は多種におよんでいるが、また、その視標といろいろな種類が考案され、その主なものとして、

1)方向を判別させる視標

ランドルト環、井上鉤、E視標、六六環、市松模様、点群、指影絵、双魚視標

2)形を識別させる視標

片かな、平かな、数字、ローマ字、 4点群、賽の目、

動物影絵、線画(『日本眼科全書』7〔1〕視力、による)

などが採用されている。

 

明治初年、スネルレン氏式試視力表を基に視力表が製作され、明治42年(1909)にヘス氏らによって発表された視力表(ランドルト氏環のそばに2桁の数字を並べて書いたもの)が国際視力表として制定されてからは、石原氏式萬国式視力表、 日本の試視力界の革命的大著といわれた井上氏式試視力表などが次々と考案製作された。かくてスネルレン氏式に代わリランドルト氏環を採り入れた視力表が汎く使用されるようになり、大正9年(1920) 制定の「学校生徒児童身体検査規程」にも、“視力検査にはスネルレン氏試視力表に代わってランドルト氏環による萬国式試視力表を用いること"と定められている(千葉保次氏)。

 

日本の視力表には片仮名文字、鉤、およびランドルト氏環が汎く用いられてきたが、1945年以後は平仮名文字、 ランドルト氏環、動物影絵などの視標が汎く用いられ、各種の視力表が製作されている。昭和48年(1973)には、1909年に国際眼科学会で認められた国際視力表に出来るだけ近い視力表を作る目的で、石原忍氏論文(日眼会誌14巻)を参考に、財団法人一新会によって国際標準視力表(ラ環のみの視標)が製作されている。

 

今や新しく製作されている視力表は高精度ポリエステルフィルム視標や赤外線リモコンを用い、瞬時に視標の度数と方向を撰択表示できる、コントラストのはっきりした液晶板を用いた単独視力表に改良され、視力表そのものが視力検査装置の一部に組み込まれた型になってきているようである。

 

主な参考文献

富永 孟:   世界医学史 454、カニヤ書店、1928

石原 忍:   視力の話 眼科の領域に於ける新智識 二輯、109、金原商店、1936

平凡社大百科事典 13巻2冊331、平凡社、1939

石原 忍:   日本人の眼 40、1943

福島義一:  日本眼科全書 1巻、206、金原出版、1954

弓削経一:  日本眼科文献集Ⅲ 金原出版、1960

山地良一:  臨床眼科全書 1巻、17、金原出版、1973

中泉行正:  一新会々報(昭和48年度)8、 一新会、1974

大島祐之:  同上、17、同上、1974

一新会:   日本の眼科149号、523、 日本眼科医会、1974

中泉行正:  一新会々報(昭和49年度)9、 一新会、1975

千葉保次:  同上、24、同上、1975

奥沢康正:  近視、遠視、老視の病名史 日本の眼科355号、

 

 

 

 

 

  斎藤仁男  中泉行信  中泉行史  1993