研医会通信  178号 

 2020.2.26
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研医会図書館は近現代の眼科医書と東洋医学の古医書を所蔵する図書館です。
この研医会通信では、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。

今回は 宜禁本草集要歌と眼(2)です。

宜禁本草集要歌と眼(2)

なすびをば初に少しは用べし

末に過食は目をも損ずる

なづな根をすりてしぼりて汁をとり

うづく目にさし忽にやむ

なづなみは甘く平也風毒の邪氣を去也

目を明にする

なづなみを卯月八日に実をとり

常に用て瞳子よく成

薺子は目のうづきやめまけを去

うはびに用て忽にさる

馬びゆは諸虫をころし渇を止

積じやを破り目を明にする

むまびゆは赤痢の薬血を散ず

肝熱を去翳を退く

糯米は不足補ひ精をまし

目を明に耳をはやくす

うきな花久服すれば長生し

目を明に夜細字みる

浮菜花弥生にとりて細末し

朝夕にのみ虚眼よく治す

独活風寒よく発散す

生にても煮ても吉也目を明にする

うそはよく氣のみじかきに薬也

虚労にも吉目を明にする

牛の謄児の驚風よく治する

熱痰を去目を明にする

のしはよく目を明にまけを去

氣力をもます労虚能治す

黒胡麻は甘く平にて氣力まし

肌を肥し目を明にする

くきつけはよろづ熱する人によし

目を明に頭をかろくする

くまのゐは丸して常に用れば

目を明に夜細字見る

くらげよく上氣をさぐる湿に吉

目を明に頭風をば治す

串蚫肝熱をさりうはびまけをよく退きて

目を明にする

まめあめを常に食すな益もなし

頭痛にも凶目にも毒なり

婦きのたう草瘡によしかゆがりや

氣力ととのヘロを明にする

葡萄よく虚を補ひて血を生し

過ればもだヘ目もくらく成

葡萄をば諸病に用ゆ過酒に吉

虚熱を覚し目を明にする

梟は平也萑目につねにくえよるも

細字を明に見る

ふくろうはうはひ中障に内障まで

皆能すまし明にする

ふなの子は牌胃を補ひ肝氣益し

赤自痢治し目を明にする

こい常に食して腎精つよくなる

目を明に力をもます

魥常に食すればよく身を肥す

眼病には食すべからず

えひはよく酒毒けす也虫の毒

脚氣に薬又目にも吉

あかあづきかはきの病寒熱の頭風をも治す

目を明にする

ありのみは目のうづきやめ上氣さげ

頭をかろく耳鳴を治す

ありのみをまなこうづくに用べし

上氣を下し頭をかろくする

あぶらめ鳥肝を食せよ強陰す

又は眼をあきらかにする

あはびをば煮ても生でも用べし

翳をよく去上障にも吉

あまがいるいきながらいに爛目を

腹にてすりては明也後いゆ

山椒はからく温なり虫積じゅ

目を明に歯をかたくする

さばはよく熱痰をさり喉痺治し

目を明に夜細字みる

さばの子は上氣の薬目にも吉

胸もふくればすこし用ふ

さけのこを多く食すな内熱し

血をば生づる目には大毒

蜆肉温さして毒なし過ぬれば

虫には多き目には吉こと少

木茸は目を明に上氣さげ

常に頭風もあらば食せよ

めばるこそ目を明に肝腎の邪氣を

しりぞき筋力をます

辣芥子は辛温也毒もなし

九竅耳目を明かにする

みづぶきを腰ひざ痛むに食すべし

又は耳目を明にする

みやうが根を生にてすりて汁をとり

衝目のうづきやまざるによし

水鯉よく胎をやすんじ血をしづむ

上氣を下し目を明にする

しろまめは目を明にして久服し

顔色を能髪を黒す

塩常に目あかく腫て泪出

うづき痛ば湯に入てぬれ

しろうりを虚冷の人にいましむる

久しく食し目をくらふする

白藻平歯をかたくする腎に吉

爵氣を散し目を明にする

椎はただ血をうかす也

又やぶれ目にも毒なり強て好な

しろうほは多く食すな瘡の毒

人をも肥し目を明にする

蜆見ひへ物熱をより下し

上氣耳鳴眼かすむに

〇(麦+曹)よくやみめうづくに少ぬれ

起〇(虫+逢)の痛み忽にぬれ

ひしはただ目を明にまけを去り

児の頭瘡のいへざるによし

ひじき平目を明に氣をくだし

腎肝の邪氣しりぞきぞする

飛鷹冷熱の疳氣や又上氣

頭風目によしめまふにも吉

ひつじただ風熱を去肝虚して

眼かすみて光うすきに

〇(魚+永)は温又は冷なり目にも吉

肺氣を瀉する多く食すな

餅常に食し過して腹熱し

めもくらくなる眠もよほす

もちあはは常に食すな風動じ

筋びためきた目をぞまはする

せわたをば氣力よわきに用べし

酒毒を覚し目を明にする

すいぎうは肝腎の氣を補ひて

目を明に精汁をもます

 

(文字の読み誤りがあると思われます。御教示下さい。)

 

なお、本書は寛永版と思われるもの以外には未詳であるが、『和歌食物本草』、『増補食物和歌本草』には以下の刊本があるようである.

『和歌食物本草』寛永7(1630)年 寛永19(1642)年 正保3(1646)年承応3(1654)年 寛文11(1671)年 元禄7(1694)年刊年不明のもの

『増補食物和歌本草』寛文7(1667)年 元禄7(1694)年 正徳5(1715)年享保8(1723)年 元文2(1737)年 寛政7(1795)年刊年不明のもの

 

 

●主な参考文献

佐村八郎:増訂国書解題. 吉川弘文館, 1909

関 以雄:実眼6年(35号) . 実験眼科雑誌社, 1923 岡不崩: 「本草」6号122. 春陽堂, 1932

京都大学:和漢図書分類目録. 第4冊, 医学, 京都大

学附属図書館,1942

東京大学:東大網合図書館古医学書目録.日本古医学

資料センタ ー,1978

武田科学振興財団:杏雨書屋蔵書目録. 武田科学振興財団1982

 

 

               

  図1 和歌食物本草(寛文19年版)

 

  図2 和歌食物本草(推定元禄版)

 

 

  図3 食物和歌本草(寛文7年版)

 

 

 

       

 

  斎藤仁男  中泉行信  中泉行史  1997