研医会通信  9号  2007.3.7
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このホームページでは、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。

今回は『南北経験医方大成論』(3)です。

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南北経験医方大成論(3)
     
   また、『医方大成論』の諺解や和語抄本等の解読書が次々と著された。その書名のわかっているものを挙げると次のようなものがある。
  1. 『医書大全論』江戸初 古活字版 全1冊(51丁)
  新刊名方類證医書大全序(天順2年 呉高尚、正統11年 熊宗立)
2. 『南北経験医方大成論鈔』 吉田意安 宗恂 解 天正3年(1575)
吉田意安 宗恂 跋 寛永9年(1632)刊 巻1−5
3. 『医方大成論抄』江戸初 古活字版 序・跋欠 上・下
4. 『医方大成論之抄』承応元年(1652) 光吉写伝(全1冊)
5. 『医方大成論抄』 寛永11年(1634)注 (全1冊)
6. 『南北経験医方大成鈔(外題 新板大成論鈔)就安斎玄幽覚心公
  (紀陽高野山)校録 正保4年(1647)跋刊 巻1−10
7. 『医方大成論和語鈔』 岡本為竹(一抱子)撰 元禄15年(1703)刊
京堀川 小紅屋喜兵衛蔵板 巻1−8
8. 『医方大成論諺解』 岡本為竹(一抱子)撰 享保6年(1721)刊 巻1−5
9. 『医方大成論便講』 宝暦13年(1763) 鍋島俊昌書写 全1冊
10. 『医方大成論諺解』 岡本為竹(一抱子)撰 貞享2年(1685)刊
11. 『南北経験医方大成鈔』紀陽高野山 就安斎玄幽覚心公 校録 
慶安2年(1616)刊
12. 『医方大成論抄』 元和2年(1616)写
13. 『医方大成論抄』 吉田意安(宗恂) 慶安3年(1650)写
14. 『医方大成論釈談』 曲直瀬道三(玄朔) 明治43年(1910)写
15. 『医方大成論註解』 天正3年(1575)写
16. 『医方大成論講解』 水野皓山 写
17. 『医方大成略抄』 江戸初 写
18. 『医方大成論口義』 回生庵可敬 著 寛永15年(1638)跋 
正保4年(1647)刊
    

(10〜18は『岩波国書総目録』による)

 室町から安土・桃山時代には既に、いわゆる李東垣、朱丹渓等による金・元医学がもたらされていたにもかかわらず、病論の内容からすれば宋医学を骨子とした本書が歓迎された理由はどこにあったのであろうか。やはり未だ李・朱医学はそれほど一般医家には不及されず、宋医方のほうがなじみがあったのかもしれない。また、『医書大全』は巻数的にも24巻もあり、大部ゆえ、その病論だけを抜粋した『医方大成論』が当時の医家の手頃な入門書としても人気を博したとも考えられる。

 その後、『医方大成論』はさらに読みやすく、なじみやすいものにするため、先に列挙したような数々の抄本や和語解読書が著され、より一層広く読まれるようになった。つまり『医書大全』は『医方大成論』によってわが国の医学により深く浸透し、理解されたということができる。

 


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図12 『南北経験医方大成論鈔』 

 

眼目門 五輪八廓の図  寛永9年(1632)刊

 

 

図13 『医方大成論抄』 眼目門 古活字版 

刊記なし

図14 『南北経験医方大成鈔』 巻頭

正保4年(1647) 刊

図15 『南北経験医方大成鈔』  

 就安斎玄幽 跋 正保4年(1647) 刊

図16 『医方大成論和語鈔』 

 

 扉と序文  元禄15年(1702) 刊

 

主な参考文献

岡本為竹:

『医方大成論和語鈔』 巻1−8 京・小紅屋喜兵衛蔵版 元禄15年(1702)刊
岡西為人: 中国医書本草考 230−245 南大阪印刷センター 大阪、1974
岩治勇一: 若越郷土研究 18:3 福井県郷土誌懇談会、1974
鍋島俊昌: 医方大成論便講 宝暦13年(1763)写




 


 

(1979年11月 中泉、中泉、齋藤)

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