2026.1.20
図1『梅品真図説』 巻頭 梅の解説から始まる
『梅品真図説』
休みの日、図書館へ向かう日陰の小道を曲がったところ、白梅が満開になっていて驚かされました。日向にある梅の木でも、まだちらほらとしか花を開いていないのに、寒そうな小道の梅が満開だったのです。樹木もみな、それぞれ、というところでしょうか。本日はそのような色々な「梅」を紹介している『梅品真図説』を取り上げます。
先日、国立能楽堂に「箙(えびら)」を観に行ったところ、公演の前に解説の時間がありました。「箙」は、梶原景季が合戦の折に矢を入れる箙に梅の小枝を挿していて、その通りすぎた後に佳い香りがのこった、という故事を能にしたものです。狂言師の方が梅の言い方について、「私どもはムメ、と発言します」と教えてくださいました。この『梅品真図説』にも、この発音の話が載っています。「馬」を「ウマ」とも「ムマ」ともいうのと同じだ、と書いてあります。
本の最初には、この発音のこと以外にも、さまざまな梅に関わる話が書かれています。梅の異名として、好文木、香散見草(かけみくさ)、匂草、風待草、初名草、春告草と沢山の名があがっています。また、能の老松の謡に、文学が盛んな時に梅は佳く香り、文学が廃れると香らなくなる、というくだりがあるのだとも書いています。
桜と並んで我が国の花の代表でもある梅のいろいろを楽しめる本です。5丁ほどの解説のあとには、美しい絵入りで各地・各種の梅が紹介されます。梅の絵の傍に、この梅は相国寺にある、とか、東本願寺にある、などと書かれています。筆写本、手書きの着色です。
図2 同本 本文の最初 寒紅梅
図3 同本 冬梅、淡青梅
図4 同本 冬至梅、五色梅、坐論梅