2025.12.15
図1『馬之薬飼幷針之書』 帙
『馬之薬飼并針』 天正16年(1588)写本 さて、来年は午年ということで、干支にちなんだ本をご紹介します。眼科の古書を中心に集めている当館には動物の治療に関する資料はほとんどないのですが、2冊だけ馬に関する本があります。そのうちの1冊『馬之薬飼幷針』、「うまのくすりかいならびにはり」と読むのでしょうか? 馬の飼育で、薬としてどのようなものを食べさせるのかが書かれ、また、馬の体にあるツボを示す図がある本です。
書写年は天正16年となっています。時は豊臣秀吉の時代です。前年には、秀吉の後継者とされていた秀次の邸であり、城でもある聚楽第が完成し、同年には刀狩令が出されています。まだまだ世の中は収まらず、馬は戦闘の具として扱われ、その良し悪しは戦いの結果にも大きく影響を及ぼすものだったのではないかと思われます。 挿絵には馬のツボが赤い点で示され、灸をすえ、針を刺すなどの治療が行われたものと思われます。春、夏、土用、秋、冬の五季それぞれに飲ませる薬も書かれています。
現代でも有名な競走馬が鍼治療を受ける、ということを聞いたことがあります。鍼治療がいろいろな動物にも有効な方法であるなら、ペットの治療などのためにも、この本を開いてみる意義はあるようです。
現代でも有名な競走馬が鍼治療を受ける、ということを聞いたことがあります。鍼治療がいろいろな動物にも有効な方法であるなら、ペットの治療などのためにも、この本を開いてみる意義はあるようです。
図2 同本 巻頭の目次
図3 同本 本文と挿絵
図4 同本 馬のツボを表す図