研医会通信  23号  2008.4.8
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このホームページでは、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。

今回は『證治準縄』(1)です。

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財団法人研医会図書館 利用案内

研医会図書館は近現代の眼科医書と東洋医学の古医書を所蔵する図書館です。

所在地: 中央区銀座 5−3−8
交通: 東京メトロ銀座駅 徒歩5分 ソニー通り
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休館日: 木・土・日・祝日、夏季休業日、年末年始

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『證治準縄』(1)

 

 一般に医学全書と呼ばれるものはそれぞれの時代における諸家の説や治方を集録し、時には編者自身の治験等も加えて、その医学知識を総合的に纏めている点で高く評価されている。『證治準縄』は中国、明代に王肯堂によって編纂された私撰の医学全書として取り扱われているものの一つである。


 『證治準縄』はまた、六科準縄とも称せられているように『證治準縄』『傷寒證治準縄』『幼科證治準縄』『女科證治準縄』『瘍科證治準縄』『雑病證治類方』の六種の医書より成っている。その構成は重鐫王宇泰先生医書六種(虞衙蔵板)によればこの各医書の初めには王宇泰の自序が入り、門が以下のよう1こ分けられている。

 

『證治準縄』王肯堂輯 明、 万暦30年自序
  第1冊(上下)諸中門、諸傷門、寒熱門
  第2冊(上下)諸氣門
  第3冊 諸嘔逆門、 諸血門
  第4冊(上下)諸痛門、屡痺門
  第5冊(上下)諸風門、神志門、雑門
  第6冊(上下)大小腑門
第7冊(上下)藪門―《眼目)
第8冊(上下)家門
『傷寒證治準細』王肯堂輯明、万暦30年自序
  帙之1 傷寒総例、他
  帙之2 太陽病、他
  帙之3 陽明病、他
  帙之4 三陰総論、他
  帙之5 合病併病汗下吐後等病、他―《眼目》
  帙之6 小便不利、他
  帙之7 労復食復、他
  峡之8 詠法、薬
『幼科證治準縄』王肯堂 輯。 明、 万暦32年自序、 序目
  集之1 初生門
  集之2 肝臓部―《眼目》
  集之3 心臓部
  集之4 心臓部2
  集之5 心臓部3
  集之6 心臓部4-《眼目》
  集之7 脾臓部上
  集之8 牌臓部下
  集之9 肺臓部、腎臓部
『女科證治準縄』王肯堂輯。 明、万暦35年自序
  巻之1 治法通論
  巻之2 雑證門(上)
  巻之3 雑證門(下)
  巻之4 胎前門―《眼目》
  巻之5 産後門
『瘍科證治準細』王肯堂輯。 明、万暦36年自序
  巻之1 難疽之源、 他
  巻之2 潰瘍、 他
  巻之3 癖疸部、頭部、他
  巻之4 脇部、他
  巻之5 諸腫、他
  巻之6 損傷門、他―《目》
『雑病證治類方』
  第1冊(上下)卒中、 他
  第2冊(上下)氣、他
  第3冊 嘔吐隔氣、他
  第4冊(上下)頭痛、他
  第5冊(上中下)癘風、他
  第6冊(上下)泄潟、他
  第7冊(上下)《目》
  第8冊(上下)耳、他

 この様に『證治準縄』『雑病證治類方』は明、万暦25年〜26年に、『傷寒證治準縄』『瘍科證治準縄』は明、万暦32年、同36年に『幼科證治準細』、『女科證治準縄』は万暦35年頃に成立したものと思われる。これらの医書がわが国へ何年に舶載されたかは不明である。
 

 これら六種の医書には長短あるが眼科についての記述があり、ことに『證治準縄』第7冊敷門(上下)には眼目の項目が設けられ、五輪八廓説に基づく眼疾病證が精細に述べられている。この『證治準縄』の眼目に掲げられた記述は、江戸時代中期の古方家、名古屋玄医 (京都の人、字、閲甫、富潤。丹水子、 宜春庵、 桐谿と号す、1628〜1696) の著わした『医方問餘』の眼目門にほとんどそのまま引用所載されている。以下その眼日の項目を比較列挙してみる。

『医方問餘』  『證治準縄』

眼目門(第8冊〜第14冊)   

   
医方問餘眼科序            
鈎割針烙説     

目(第7冊)家門(上)


五輪説、八廓説、開導説、
點服薬説 同左 目痛

(以下項目両書共通):白眼痛、天行赤眼熱證、暴風客熱證、火脹大頭證、羞明柏熱證、瞼硬睛疼證、赤痛如邪證、氣眼證、痛如針刺證

巻之二

(以下共通):熱結膀洸證、大小雷頭風證


赤詠穿晴證、小背赤詠 附晴
左右偏頭風證
(以下共通):陰邪風證、陽邪風證、卒腦風證、癲頂風證、遊風證、邪風證
オ血灌證、血灌瞳人證 目赤、オ血灌證、 血灌瞳神證
(以下共通):色似臙脂證、赤詠貫晴證、赤絲乱詠證、 附目珠倶青證、 日腫脹、腫脹如杯證、状如蝦坐(座)證、 状如魚胞證、鶻眼凝晴證。
  因風成毒證
(以下共通):施瞳泛起證、施螺突起證、神珠自脹證、 珠突出○(目に匡)證、 目痒、痒若蟲行證。
  外障

 

(以下共通):黄膜上衝證、赤膜下垂證、凝脂翳、花翳 白陥證、蠏晴證、班脂翳證、黄油證、状如懸胆證、玉粒 分経、銀星独見、聚開障證、聚星障證、垂簾障證、湧波 翳證、逆順障證、陰陽翳證、瑪瑙内傷證、連珠外翳證、 剣脊翳證、氷蝦翳證、園翳外障證、水晶障證、魚鱗外障證、馬蝗積證、努肉證、肺オ(やまいだれに於)證、鶏冠蜆肉證、魚子石榴 (證)、 輪上一顆如赤荳證、 晴中一点似銀星證、 五花障證、混障證、驚振外障證、黒翳如珠證、木疳證。

 

 

(以下「医方餘問」のみの項目):風粟證、 瞼生倫針證、 瞳神乾缺證。

巻之三:蠅翅黒花、小児通晴、小児雀目、胎風赤爛、小児疳傷、小児眼生翳贅、ソウ?風洒涙抄症、紅霞映日、抱輪紅、攀晴、早晨疼痛、瞼停疹血、不赤而痛、午後疼痛、赤而不痛、左赤博右、右赤傳左、室女逆経、血室澁痛。

 

 

 

巻之四。
(以下共通。( )内は『證治準縄』:内障説、 青風(内障證)、緑風(内障證)、黒風(内障證)、黄風(内障證)、銀風(内障證)、絲風(内障證)、 鳥風(内障證)、 偃月(内障證)、仰月(内障證)、 如銀(内障證)、 如金(内障證)、銀映瞳神(證)、雲霧移晴(證)、 圓翳(内障證)、 永翳(内障證)、滑翳(内障證)、 滑翳(内障證)、澁場(内障證)、散翳(内障證)、浮翳(内障證)、○(にすいに冗)翳(内障證)、 偃月侵睛(證)、棗花障(證)、自翳黄心(證)、黒花翳(證)、五風変成(内障證)、瞳神散大、瞳神緊小(證)、瞳神歌○(竒に欠)側(證)、 目昏花(證)、神膽昏眇(證)、晴黄視眇(證)、乾?昏花(證)、起坐生花(證)、螢星満日(證)。

 

 

巻之五
(以下共通):暴盲、 青盲、 雀盲、 眞晴膏損、 膏傷珠陥、神水将枯、轆轤轉関、双目晴通、神珠将反、瞳神反背、青黄牒出、珠中氣動、倒睫挙毛、牌急緊小、脾肉粘輪、胞肉膠粘、脾翻粘瞼、脾輪振眺、血?脾乏、脾虚如毬、風沿爛眼、風弦赤爛證、迎風赤爛證、皆赤爛證、 目涙不止、迎東證、迎西證、迎風冷涙證、迎風熱涙證、無時冷涙證、無時熱涙證、気雍如痰證、 目瘡疣證、實熱生瘡證、椒清證、粟瘡證、脾生痰核證、木疳(證).(医方見前4巻)、火疳(證)、土疳(證)、(医方:愉針眼)、金疳(證)、水疳 (證)、漏晴、大皆漏(證)、小皆(證)、陰漏(證)、陽漏(證)、正漏(證)、偏漏(證)、外漏(證)、竅漏(證)、能遠視不能近視、能近視不能遠視、目妄見、神光自見(證)、黒夜精明、視正反邪(證)、視定反動(證)、
視物テン(眞に頁)倒(證)

 

巻之六
(以下共通。( )内は『證治準縄』 視一爲二(證)、視膽有色(證)、祖赤如白(證)光華暈大(證)視直如曲(證)、目閉不開、目直視、目上視。
  目爲物所傷、驚振外障(前見)

(以下共通 ( )内は『證治準縄』驚振内障(證)、物損眞晴(證)、振胞オ(やまいだれに於)痛(證)、觴傷眞氣(諦)飛絲人目(證)、物偶入晴(證)、○(目に米)目飛揚(證)、傷寒愈後之病。

點藥方
眼目図説
 五輪図式
 八廓図式
 眼疾図81
姙娠目病
産後目病
因風證
因毒證
因他證
痘疹餘毒證
時復證

      


      

          

 

 

図1 『證治準縄』目録および巻頭


         

 

 

図2 『證治準縄』 王肯堂自序

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(1980年11月 中泉、中泉、齋藤)

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