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このホームページでは、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。

今回は [眼科諸流派の秘伝書(11) ]

『眼科玉明秘録』 です。

財団法人研医会図書館 利用案内

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文庫の窓から  眼科諸流派の秘伝書(11)上

20.眼科玉明秘録

 古来、眼科諸流派の消長はその年代によってさまざまであったと思われるが、『本朝医考』(黒川道祐編纂、寛文3年序)によると馬嶋流の他、佐佐木、青木、須磨、穂積等が目医(眼科医)として名のある一家をなしていたようである。その後、馬嶋、家里、笠原、井花等幾多の眼科諸流派の興亡がみられ、幕末も近い天保の頃は尾州の馬嶋、筑前須恵の田原、諏訪の竹内、江戸の土生といった眼科名家があって、その頃これを日本四大眼科とも称されたという。『眼科玉明秘録』は文政7年(1824) 2月、末松道隆によって相伝されたものであるが、当時のわが国眼科名家の秘方を総合的に包括して伝えているので、ここに紹介する。

 『眼科玉明秘録』は文政年間(1818〜1829)、わが国で名のある眼科、尾張名古屋、美濃、筑前、信濃の四家の秘方およびその外日本諸国の秘書より効験あるものを撰び出し、乾坤2巻にまとめ、習学の人のために解りやすいように図と俗語をもって記述した当流秘密の相伝であると、本書の奥書に示されている。

 本書は乾(89葉)、坤(120葉)2冊の写本(24.0×17.7cm)ょりなり、薄用の料紙に片仮名漢字混りの和文にて整然と記述され、読みやすく、 また、乾(巻上)の最初に総合目録を設け、巻上、巻下の各目録を掲げ、更に伊呂波順方銘日録(件名索引)を附した眼科専門書であり、従来の秘伝書とは異なり、読者の便宜を考えた本である。

 本書の内容は前述のように複数流派の優れた秘方をそのまま採り入れ記述した秘録である。その内容を本書の日録によってみると以下の通りである。

眼科玉明秘録目録
乾:  眼病寒熱ヲ知ル事並見様之事、眼病療治之法、薬方竜脳散類方寄(柴田流秘法)、眼疾灸治、仙人流配剤、外障ヲ剪法、内障ノ針ノ法、温鉄七種ノ秘事、熱鉄ノ心持秘事、眼科道具之事、好物之事。

巻之上:  出来物之部、外障、 目蛭、 目イボ、土肉、 目瘤、 目ハタ、 目疔、 大眥小眥出来物、 一切出来物、篠衝、月輪星、星目、タイハノ星、アマノ尺ノ星、スマル星、蟹目、中障、胞瞼生盾、

膜之部:  上気膜、自膜、自膜筋十文字二通リタル目、 羽翡膜、 陽永膜、 藤膜、 簾膜、杉膜、イカイ膜、 ツリ膜、 草膜、 峯雲膜、 指扇、廉膜(こはまけ)、山根膜、分出膜、爛膜、山本膜、赤膜、閉膜、傳膜、大龍目、角膜、水膜、別膜、張膜、フト膜、絃膜、血○(りっしんべんに衣)膜、○(虫の上にノ)膜、古血膜、 目草ビラ膜、 上膜、 釣膜、 肉膜、指膜、膜之薬方、血目、病目、風眼、疔目。


巻之下:  努肉、 ヲニク、 拳毛倒睫、 上血、 下血、 目窪、村雲、火障、浮障、天○(目+非)、 クボミ、名ノナキ目、目○(虫の上にノ)、眉ヘキ目、俄二晩キ目、 常闇目、 客霊、 別目、 孚雲、大雨、佛罪目、神罪目、 生目、 疚瘡、 重熱目、 疵目、接目、打目、白眼ノ血引カヌル時ノ事、 目能遠視不能近視者、 目能近視不能遠視者、 焼人目(火傷目)、 黒肉目、 目ニ物ノ入タル事、霞目、常二涙タル目、黒目タダレ、 ウツキ目、 目瘡、モカサ(痘塘入日)、産後血目、氣眼、鳥目(雀目)、臓熱ノ目、○(やまいだれに黴)瘡目、雪目、 目マメ、血肝、中眼(是ハ能目ニテ不見也)、 目弱膜、 縛膜、珎観膜、眼月、走草、高連目、筋氣目、シンモク、天清、八寸目、目積膜、虚眼、出目、入目、蜘蛛ノ巣目ニ入タルモノ、痘眼(疱瘡目)、 目腫閉者、小児疳目、老眼

内障ノ部:  黒内障、 青内障、 黄内障、 白内障、 赤内障、石内障、肉内障、倍内障(はいないしょう)、測内障(ふきないしょう)、鬼内障、老内障、内障薬方、 眼病諸方録、 薬種能毒丼製法之事、 代薬之事。

方銘目録(伊呂波順索引)
以上が目録であるが135の眼病治療についてそれぞれ薬物処方も併記してのべている。


 

 

 

図1 『眼科玉明秘録』 奥書。 文政7年(1824年)末松道隆誌

 

 

 

 

 
図2 内障之部。白内障の病態は各流派によってその見方がそれぞれ多少異なる。

 

 

 

 

 
図3 内障之部。内障各種の説明に淡彩色の眼病挿絵は眼病図譜の役目もかねているようである。

 

 

 

 

 
図4 内障の針の法。内障の治療には針が用いられ、温鉄、熱鉄の活用も盛んであったようである。

 

 

(1982年 10月 中泉、中泉、齋藤)

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