研医会通信  159号 

 2018.8.17
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研医会図書館は近現代の眼科医書と東洋医学の古医書を所蔵する図書館です。
この研医会通信では、当館所蔵の古医書をご紹介いたします。

今回は 『点眼瓶の今昔(その3)』です。

点眼瓶の今昔(その3)

 

 

20.ワイエヌ式点眼瓶(1949年頃) 頭部肉厚にて型吹製ゴム帽子填込完全

21.井浪式携帯用点眼瓶(1949年頃) 上下ゴム付、木筒及びボール筒入、5 cc、8 cc、10cc。硬質肉厚硝子製ゴム填込、薬液流出危険ない。

22.井浪式投薬用点眼瓶(1950年頃)  改良点眼瓶、砲弾型木筒入、5g、8g、10g。

23.井浪式新型点眼瓶(1953年頃)

24.日東点眼瓶(1954年頃)  ボデー(スチロール)、キャップ(ポリエチレン)、填込ゴム、 カブセゴム、5 cc入。無色、茶色。外箱不用、破れない、漏れない。

25.TSU印点眼瓶(1953年頃) セルロイド製文化筒入

26.ワイエヌ式点眼瓶(1954年頃) プラスチック製ケース入

27.井浪式点眼瓶(1955年頃) 木製及びプラスチック製筒入。一般薬、特殊薬投薬用。

28.三和式回転止ケース及び点眼瓶(1955年頃)。携帯優美、堅牢。黒、鼠、緑3色ケース。

29.井浪式点眼瓶(1957年頃) ポリエステル製V型プラスチック製筒入。ポリエステル製砲弾型プラスチック製筒入。高価薬用、 診察用、 投薬用。

30.フィェヌ式ポリエチレン点眼瓶(1958年頃) 丸底につき完全洗添及び煮沸消毒可能、瓶先にゴムキャップ使用、薬液に冒されない。

31.ワイエヌ式砲型捻口点眼瓶(1960年頃) 高貴薬最適。

32.ワイエヌ式ポリプロピレンB型点眼瓶(1968年頃)。注入瓶先がカブセ式になっている故薬液を充填する際瓶先にふれることなくできる。名入れ自由、 熱消毒可能、ケースの色5種。

33.YN式C型ポリプロ点眼瓶(1973年頃) 5 cc、10 cc。ヶ―スの色: 透明、 赤、 青、 茶、 緑、 白、その他。キャップの色: 赤、 青、 黄、 緑、 紫、 白等10色。

特色: 従来の中栓式のものに比べ中栓が長く取扱が便利、 キャップの色によって薬分けができて便利。高熱消毒でも変形変色することがない。

34.NY式K型ポリプロ点眼瓶(1973年頃)  5 cc。ヶ―スの色:  赤、 青、 茶、 緑、 白、 透明、

不透明。キャップの色:  赤、 青、 黄、 緑、 紫、 白、 その他。

特色: 中栓が無く、薬の注入が容易。キャップ、ケースの色によって薬分けが可能。高熱消毒でも変形変色しない。

 

(以上の他にも調査にもれたものが多々あると思われますが、御教示いただければ幸いです。)

 

古来、点眼の方法は1本の目棒などの簡単な用具から始められたものと想像されるが、先人達の英智によって点眼瓶が考案され、陶や硝子やポリエステル製等々、その機能、品質、形態、あるいは美的なこと、携帯に便利なこと、そして安全性などあらゆる点において次々と試作されつつ改良が加えられ、今日の優れた点眼瓶が作られるようになった。そして点眼瓶の内容物を区別する便法として、点眼瓶の個々に色の印を付けることも行われ、あるいは、外来患者に渡す点眼薬をその種類によって幾種類かの異なった色のキャップを点眼瓶に付けて区別する方法も行われている(戸塚清氏)。

 

このように優れた点眼瓶が作られるようになってきたが、最近、点眼瓶とよく似た他の薬物容器が巷に出回っているようである。点眼薬と間違って使用されないよう、 よくよく心得てもらいたいものである。(了)

 

斎藤仁男 1992